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菊地 晋; 坂本 寛*; 高井 俊秀; 山野 秀将
日本機械学会2020年度年次大会講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2020/09
原子炉の炉心損傷に至るような過酷事故(シビアアクシデント)を想定した場合、制御材である炭化ホウ素(BC)と被覆管や関連する構造材であるステンレス鋼(SS)との共晶融解が発生する恐れがある。このため、仮にナトリウム冷却高速炉において炉心損傷事故(Core Disruptive Accident: CDA)に至る場合を想定すると、BC-SS共晶融解挙動は安全評価上、重要な現象の一つに位置付けられる。本報告では、共晶融解が進展した界面における融解速度を把握することを目的にSSにBCが移行した状態を模擬した低濃度BC含有のSSとSSを接触させた浸食試験を実施し、得られたデータから接触界面の反応速度定数を評価した。評価の結果、低濃度BC含有のSSとSSによる共晶の反応速度定数は、BC-SS共晶の反応速度定数よりも高温域において小さいことが分かった。また、BC含有量が少なくなるにつれて速度定数が高温域では、小さくなる傾向が見られた。
海老原 健一; 齋藤 圭*; 高井 健一*
Proceedings of 2016 International Hydrogen Conference (IHC 2016); Materials Performance in Hydrogen Environments, p.470 - 477, 2017/00
鉄鋼の水素脆化機構を理解するためには、鋼材中の欠陥における水素トラップ状態を推定する必要あり、水素昇温脱離解析はそのための有効な方法である。しかし、水素昇温脱離解析で得られる昇温脱離スペクトルは、欠陥による水素トラップの情報を含むが、実験条件や水素拡散に影響されるため、数値シミュレーションによる昇温脱離スペクトルの解釈が必要となる。本研究では、数値シミュレーションに必要となる水素のデトラップ及びトラップ速度定数を、焼戻しマルテンサイト鋼の拡散の影響を無視できる程度の厚さの板状試料から得た実験昇温脱離スペクトルから決定し、その速度定数を用いてよりサイズが大きい棒状試料から得たスペクトルの再現を試みた。その結果、得られた速度定数を使ったモデルは、そのスペクトルをうまく再現することができた。この結果から、拡散が無視できる程度の試料の実験スペクトルから得た速度定数は、サイズや形状が異なる試料のスペクトルのシミュレーションでも使えることが分かった。
永石 隆二; 井上 将男; 日野 竜太郎; 小川 徹
Proceedings of 2014 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2014) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10
福島第一原子力発電所事故では破損した原子炉施設の冷却のために海水を使ったため、スリーマイル島原子力発電所の冷却水喪失事故とは異なり、事故後に発生した汚染水に海水成分が含まれた。これに伴い、腐食や水素発生と密接に関係する、海水の放射線分解の反応計算がいくつかのグループによって行われたが、それらは1次収量や放射線誘起反応の塩濃度依存性(塩効果)を考慮していないため、広範囲の塩濃度に対して適用できない。そこで、本研究では、1次収量の塩効果を示す定常照射実験の結果、並びに反応の塩効果を示すパルス照射実験(パルスラジオリシス)の結果をもとに、海水の希釈及び濃厚系での放射線分解挙動に関する考察を試みた。
間中 光雄
JNC TN8400 2000-012, 33 Pages, 2000/04
処分場周辺の酸化還元状態は人工バリアシステムの性能に影響をあたえると考えられる。とりわけ、圧縮ベントナイトの空隙に存在する酸素は処分場周辺の酸化還元状態に強く作用するだろう。酸素の影響を評価するために、圧縮ベントナイト中の酸素の輸送パラメータおよび酸素の消費プロセスを知らなければならない。そこで、つぎの研究が実施された。圧縮ベントナイト中の溶存酸素(DO)の拡散を理解し、かつ、溶存酸素の影響を見積もるために、電気化学的手法を用いて圧縮Na型ベントナイト中を拡散する溶存酸素の実効酸素の実効拡散係数(De)を求めた。その結果、ベントナイトの乾燥密度と溶存酸素の実効拡散係数はつぎのような関係にあることが分かった。De=1.53+-0.1310-9exp(-2.15+-0.2410-3p)Deは溶存酸素の実効拡散係数(m2s-1)、pはベントナイトの乾燥密度(kgm-3)である。ベントナイトの空隙に存在する酸素は、ベントナイトに含まれる不純物の黄鉄鉱の酸化反応によって消費されると期待されている。この考えを確かめるために、圧縮Na型ベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度が本研究で得た溶存酸素の実効拡散係数を用いて黄鉄鉱-ベントナイト系の実験データから見積もられた。乾燥密度0.8および0.9、1.0、1.1、1.210 3kgm-3のベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度定数は、それぞれ1.38+-0.3210-8、1.10+-0.2410-8、1.16+-0.3510-8、9.36+-2.2310-9、7.48+-1.9210-9ms-1であった。圧縮ベントナイト中の黄鉄鉱の酸化速度定数(k')は圧縮ベントナイトの乾燥密度(p)とつぎのような関係があることが示された。K1=3.94+-1.0610-8exp(-1.33+-0.2810-3p)しかるに、炭酸溶液(初期pH=9.24)中のそれは1.46+-0.0910-9ms-1であった。DOと反応した黄鉄鉱の表面には、溶液のpHに依存しながら酸化層が形成する。形成した酸化層は黄鉄鉱内部への酸素の拡散を阻止することが考えられる。酸化反応によって形成した生成物を知ることは重要となる。そこで、レーザーラマン分光法を用いて実験前後の黄鉄鉱表面を分析した。その結果、黄鉄鉱表面に形成した酸化物は
三木 崇史*; 笹本 広; 千葉 保*; 稲垣 学*; 油井 三和
JNC TN8400 2000-007, 32 Pages, 2000/01
本資料では、ニアフィールド母岩や緩衝材中の酸化還元状態を評価する上で重要と考えられる地球化学反応について文献調査をもとに整理した。以下に調査の結果をまとめる。・酸化還元反応に寄与する物質としては、岩石中に含まれる二価鉄を含む鉱物や有機物が重要である。特に、黄鉄鉱は、溶存酸素との反応が比較的速いため、処分場閉鎖後初期の段階では、酸素は黄鉄鉱により消費されると考えられる。・還元性物質による還元能力は、室内での岩石(鉱物)-水反応をもとに、定量的な評価が可能である。なお、二価鉄の含有量が多く、空隙率の大きいほど、岩石の有する還元能が大きいことが期待されている。・還元性物質による溶存酸素の消費速度についても、二価鉄を含む主要な鉱物について、実験的に求められている。また、溶液中に溶解した二価鉄イオンと溶存酸素との反応に関する速度式や速度定数も求められている。 従って、これらの既存の文献でまとめられているデータを用いることにより、坑道掘削に伴い変化するニアフィールド母岩や緩衝材中の地球化学的状態を速度論的に検討することが可能であると考えられる。
Arthur, R. C,*; Savage, D.*; 笹本 広; 柴田 雅博; 油井 三和
JNC TN8400 2000-005, 61 Pages, 2000/01
本報告書では、長石、層状珪酸塩、沸石、酸化物、輝石、角閃石に対する34種類の水和反応を対象に速度定数、反応次数、活性化エネルギーを含む速度論データを収集・整理した。また、同様に方解石と黄鉄鉱に対する速度論データも収集・整理した。これらのデータは、地球化学コードであるEQ3/6やGWBで用いられている表面反応支配・遷移状態理論に則した速度則に適合する。上述した水和反応の速度論データは、厳密には、平衡状態からかけ離れた非平衡状態における遷移状態速度則に適合するものである。これらのデータは、平衡状態からかけ離れた非平衡状態および平衡状態に近い状態における速度則にも概念的には適合するものであるが、その妥当性は、元文献の実験結果の解析を通じて可能な限り確認されるべきである。鉱物-水反応に関する速度論データの適用性の限界を考慮し、地下水水質形成の地球化学モデルの評価を単純化する上で、可能な場合、部分平衡を仮定することは有効な方法である。部分平衡の仮定が妥当であるかどうか評価するため、部分平衡の空間的、時間的スケールを評価するために用いられる水理および水-岩石反応を結合したモデル化手法について記述した。この様なモデル化手法は、釜石原位置試験場における割れ目中での地下水流れを含む条件に対して適用され、また、酸化性の地表水が結晶質岩における高レベル放射性廃棄物の処分深度にまで達するのに要する時間を評価するためにも用いられた。部分平衡が妥当な仮定であるかどうかといった疑問に対しては、適切なモデル化手法をもとに検討されるべきである。上述したモデル化手法を用いて、釜石サイトでの条件に適用するためには、割れ目充填部は多孔質媒体に近似でき、地下水の流れは単なる移流のみであり、母岩マトリクス方向への拡散は生じないことになる。さらに、平衡状態に達するまでの距離と同じか、それよりも長い距離に渡って、割れ目の鉱物学的特性や物理学的特性が均一でなければならない。もしこの様な条件下において、以下の状態であるならば、釜石サイトにおける地下水水質形成モデルにおいて部分平衡を仮定することが妥当であると推測される。・方解石、濁沸石(その溶解・沈殿挙動が輝沸石に類似すると仮定)、濁沸石、葡萄石、(石英は含まない)・ダルシー流速は比較的小さい(たとえば、約0.1myr-1)・平衡状態に関する不確実性として、飽和指数で+-0.4を誤差 ...
佐藤 圭*; 若林 成二*; 松原 孝*; 杉浦 円*; 綱島 滋*; 黒崎 譲*; 高柳 敏幸
Chemical Physics, 242(1), p.1 - 10, 1999/00
被引用回数:7 パーセンタイル:22.56(Chemistry, Physical)CH+HS,CD+HS,CH+DS及びCD+DS反応の295Kでの反応速度定数をレーザー誘起けい光法を用いて測定した。同位体効果はたいへん小さいことがわかった。反応のメカニズムを高いレベルの分子軌道計算結果から検討した。その結果CHラジカルはHS中のS原子にバリヤーなしで付加するのが初期過程であることがわかり、実験結果を強く裏付けるものであった。またRRKM計算により、生成物の分岐比についても検討した。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*; 佐藤 圭*; 三澤 和昭*; 小林 泰英*; 綱島 滋*
Journal of Physical Chemistry A, 103(2), p.250 - 255, 1999/00
被引用回数:34 パーセンタイル:71.42(Chemistry, Physical)N(D,P)とCH及びCDの反応速度定数を原子共鳴吸収法を用いて温度範囲223~298Kで測定した。温度依存から求めたアレニウスの活性化エネルギーはN(D)については1.5kcal/mol、N(P)については1kcal/molであった。H/Dの同位体効果はN(D)で1.8、N(P)では1.6と求められた。反応速度定数の絶対値についてはN(D)のほうが約40-60倍大きいことがわかった。N(D)+CH(CD)反応については分子軌道法より得られる反応経路の情報を用いて遷移状態理論の計算を行い、反応速度定数を実験値と比較した。その結果、非断熱遷移が重要な役割をしていることがわかった。
佐藤 圭*; 三澤 和昭*; 小林 泰英*; 松井 美穂*; 綱島 滋*; 黒崎 譲*; 高柳 敏幸
Journal of Physical Chemistry A, 103(43), p.8650 - 8656, 1999/00
被引用回数:27 パーセンタイル:64.06(Chemistry, Physical)パルス放射線分解-原子共鳴吸収法を用いてN(D,P)原子とCH及びCDとの反応速度定数を測定した。分子軌道計算結果を用いた遷移状態理論により実験結果を解析した。その結果、非断熱遷移が重要であることを明らかにした。
河村 繕範; 榎枝 幹男; 奥野 健二
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.713 - 721, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:57.28(Nuclear Science & Technology)固体増殖ブランケット内で増殖されたトリチウムの放出挙動を把握するためには、各移動過程でのトリチウムの移動速度とインベントリーを求める必要がある。特に表面反応の影響が無視できないことが指摘されており、筆者らは、水分吸脱着挙動等の系統的調査を行ってきたが、今回は、水素添加スイップガスを用いた際に生じる同位体交換反応に着目し、リチウムジルコナート充填層を用いたH-D系交換反応実験を行った。交換反応は気相水素-表面吸着水間の交換反応が律速であることがわかり、データより反応速度定数及び平衡定数を得た。これにより増殖トリチウムを回収する際にスイープガスに添加すべき水素濃度の算出が可能である。また、物質移動抵抗を水分脱着と比較し、条件によっては、水素を添加しても効果がみられない場合があることを指摘した。
黒崎 譲*; 高柳 敏幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Molecular Structure; THEOCHEM, 452, p.209 - 218, 1998/00
2,3-ジメチルブタンカチオン((CH)CHCH(CH),h-DMB)からのH脱離反応に対し、非経験的分子軌道計算を行った。構造最適化はUMP2/6-31G(d)レベルで行い、1点エネルギー計算をUMP3/6-31G(d)及びUMP4(SDTQ)/6-31G(d)レベルで行った。その結果、この反応は障壁が22-24kcal/molで26-29kcal/mol発熱的であることが予測された。非経験的分子軌道計算から得られたデータを用い、遷移状態理論に基づいて量子力学的(トンネル)効果を考慮した熱反応速度定数を求めると、h-DMBの反応の速度定数は77Kで約10sと予測された。h-DMBにおいて、脱離するHをDで置換したカチオン(d-DMB)の反応の速度定数は77Kで約10sと計算された。このことから、h-DMBからのH脱離反応にはトンネル効果が重要であることが示唆される。一方、h-DMBの反応速度定数に対する実測値は約12桁も大きい。これは量子化学計算のレベルがまだ低いことを示唆する。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*; 三沢 和秋*; 杉浦 円*; 小林 康英*; 佐藤 圭*; 綱島 滋*
Journal of Physical Chemistry A, 102(31), p.6251 - 6258, 1998/00
被引用回数:42 パーセンタイル:78.25(Chemistry, Physical)パルスラジオリシス共鳴吸収法を用いてN(D,P)とCH及びCDの反応速度定数の測定を行った。反応速度定数の温度依存からアレニウスパラメータを決定した。得られた活性化エネルギーはN(D)で約0.5kcalmol、N(P)で約0.9kcalmolであった。H/Dの同位体効果はN(D),N(P)とも非常に小さいことがわかった。また反応速度定数の絶対値についてはN(D)のほうが約3倍大きい。N(D)+CHの反応のメカニズムを調べる目的で、ab initio分子軌道計算を行った。それによるとN(D)はCHの結合に付加することがわかった。実験で得られた反応速度定数と遷移状態理論による速度定数の比較を行い、理論計算の結果の妥当性について論じた。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*
Journal of Physical Chemistry A, 101(38), p.7098 - 7104, 1997/00
被引用回数:33 パーセンタイル:73.31(Chemistry, Physical)H+FHF+F反応のポテンシャルエネルギー曲面をCCSD/6-311G++(3DF,3DD)レベルの分子軌道法を用いて計算した。Saddle Pointは、共線的であり、バリヤーの高さは3.7Kcal/molと計算された。Saddle Pointの位置、ポテンシャルエネルギーの角度依存性、及びVan der Waals長距離ポテンシャル等の新しい曲面を構築するための重要な性質が得られた。これらのデータを基に新しいポテンシャル曲面を作製した。この新しい曲面を用いて反応速度定数を量子力学的な近似法を用いて計算した。その結果、Mu+F反応においてはVan der Waalsポテンシャルがトンネル効果に重要な役割をしていることを見出した。
西尾 軍治*; 渡邊 浩二*; 小池 忠雄; 宮田 定次郎
JAERI-Tech 96-056, 59 Pages, 1996/12
ロシアの再処理施設、トムスク-7で発生した事故の原因を解析するためには、熱的に不安定な反応性物質を含むTBP/ケロシンと硝酸が熱分解した場合の反応速度定数や反応熱を決定する必要がある。そこで、硝酸と反応し易いn-ブタノール、硝酸n-ブチル、芳香族化合物、および環式炭化水素について、原研で得た示差熱分析(DTA)の熱量測定データを利用して、これらの反応速度定数と反応熱を求めた。また、トムスク貯槽内の発熱と放熱の熱収支計算をこれらの反応速度定数と反応熱を用いて実施し、急激な熱分解反応によって破裂した貯槽の安全評価を行った。その結果、貯槽破裂の原因は石油系ケロシンに含まれた芳香族化合物の急激な熱分解反応に起因していることが明らかになった。
小川 弘道; 武部 愼一; 妹尾 宗明
JAERI-Research 94-002, 12 Pages, 1994/07
未撹乱状態で採取した通気砂層試料に対して行なった放射性核種移動試験の結果から、逆解析によって粒子性Coおよび粒子性Csの存在量および反応速度定数を推定した。粒子成分量は、両核種ともに、全流入放射性核種量の数%以下であり、水流速依存性は認められなかった。粒子性Coの吸着反応速度定数は10~10(ml/g・min)程度、脱離反応速度定数は10~10(1/min)程度であり、吸脱着反応が平衡に到達した場合には、これらの値は数10(ml/g)程度の分配係数に相当すると考えられた。粒子性Csの捕獲反応速度定数と同程度の10~10(ml/g・min)であった。両核種とも、反応速度定数に水流速依存性が明白に認められ、特にCoの脱離反応速度定数には大きな水流速依存性が認められた。
石黒 美佐子*; 館盛 勝一; 内藤 新司郎*
JAERI-M 93-056, 27 Pages, 1993/03
アクチニド元素が関与する硝酸水溶液系の化学反応シミュレーション方法を検討した。これ迄に開発した速度論モデル(REACTコード)では、反応の中の迅速な反応にひきずられて、時定数が極めて小さくなり硬直なシステムになる事がわかっている。この事は再処理工程のシミュレーション計算(例えばEXTRAコード)でも重要な課題となっている。ここでは、30個の反応式からなる系を対象に、その中の4個を平衡論式に置き換え、残りを速度論式とする云わゆる部分平衡論的モデルについて検討した。数学モデルを示すと共に、計算結果や計算時間を従来の方法と比較した。
橋本 和幸; 工藤 博司; 大森 巍*; 吉原 賢二*
Radiochimica Acta, 63, p.167 - 171, 1993/00
テクネチウム(III)錯体は一般に置換不活性と考えられているが、テクネチウム(III)-チオ尿素錯体はテクネチウム(II)錯体合成の出発物質として用いられており、その反応機構の解明はテクネチウム(III)錯体の反応性の理解につながる。そこで本研究では、チオ尿素誘導体のテクネチウム錯体とピリミジン誘導体との反応について溶媒抽出法によって調べた。その結果、抽出挙動はそれぞれ(チオ尿素およびピリミジン)の置換基に大きく依存していることが認められた。さらに反応機構を解明し、その反応速度定数を求め系統性を明らかにした。
吉田 浩; 芦部 楠夫*; 小野 清*; 榎枝 幹男
JAERI-M 92-083, 28 Pages, 1992/06
ITERブランケットの安全性に係わる課題の一つとして冷却水漏洩時のベリリウム水蒸気反応が問題となっている。本研究は、Be-HO系の高温反応を定量的に把握し今後のブランケット設計に役立てることを目的として実施した。実験では、ブランケット内温度分布及び少数の冷却管破損を想定し、温度範囲550C~750C、水蒸気分圧0.76Torr~7.6Torrを選定した。ベリリウムは代表的製造法による金属板を使用した。本実験により以下の結果を得た。(1)550C以上では一定の誘導期間を経て加速度的酸化反応が起こる。(2)誘導期間は、材料表面状態に余り依存せず750C、650C、600Cで夫々10分以内、1~3h、20~50hを求められた。(3)誘導期間の主反応の速度式dw=ktにおいて、1次反応(750Cで)及び放物線反応(650C)が成り立つことが分かった。
木下 弘毅*; 平田 勝; 矢幡 胤昭
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(8), p.739 - 747, 1991/08
流動層式焼却炉を用いてイオン交換樹脂の燃焼速度を把握した。本実験では、正確に秤量した陽イオンおよび陰イオン交換樹脂を550~750Cの間の一定温度に保持した流動層内に供給し、オフガス中のCO濃度をCO分析計により測定した。イオン交換樹脂の反応完了時間はCOの発生時間として求め、見掛けの反応速度定数を導出した。流動層式焼却炉を各種温度および流速にて運転することにより、イオン交換樹脂の燃焼条件として流動層温度650C空塔速度4.9110m・s以上が望ましいことを確認した。また、流動層温度650C、空塔速度5.4510m・sにおける陽イオンおよび陰イオン交換樹脂の見掛けの反応速度定数Kとして、それぞれ7.2510および8.7110kg・m・sを得た。本実験で得た見掛けの反応速度定数Kを用いることにより、スケールアップした装置におけるイオン交換樹脂の総括反応速度が推定可能である。
間柄 正明; 辻 利秀*; 内藤 奎爾*
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(8), p.721 - 731, 1991/08
鉄クロム合金(1.17~11.96at.%Cr)とテルルの反応速度定数を、テルル分圧350Pa反応温度873~1023Kおよび反応温度923Kテルル分圧66.7~600Paで測定した。また、テルル化合物の生成機構を明らかにするために、マーカー実験を行い、生成したテルル化合物層を、EPMA、X線回折法を用いて調べた。その結果、反応速度は放物線則に従い、テルル化合物層は、内層、中間層、外層からなり、内層はテルル化クロム層、中間層は-テルル化鉄層、外層は、-及び-テルル化鉄からできていた。クロムによる合金の保護効果は、テルル化クロムが、合金表面を緻密に覆うことにより、鉄の外方拡散を妨げているためと考えると、説明できる。反応の活性化エネルギーを、-、-、-テルル化鉄中の鉄の拡散のそれと比較することにより、テルル化反応の律速段階を、議論した。